乾いた風の走馬灯 (No.010)
春夏秋冬に仲間はずれにされた梅雨は、毎年より弱い自己主張を終えて去っていった。北半球から見たらちっぽけなこの島国に、またこの季節が激しい暑さを携えて到来する。
夏。
大学生にとっては遊びの季節だろうし、働き盛りの世代にとっては、きっと変わり映えのない季節かもしれない。だが、高3生にとっては、まさしく、文字通り大事な季節。ひとつのヤマ場と言っても差し支えないだろう。
去年の自分もそうだった。浪人生や、首都圏の高3生に追いつけるのかという不安と、やってやるぞという希望。2つの相反する思いを抱えて夏を迎えた。
2017年の夏を越えてざっと360日。現在、大学1年生として大学に通っている。そんな僕から、受験生、とりわけ地方と呼ばれる環境に置かれた高3生に、微力ながらアドバイスを送りたい。
- 焦りと自信のバランスを併存させる
- 短期、中期、長期のタスクを可視化する
- 悩みや不安は吐き出す
- 誘惑と距離を取る
- 時間の可視化
以上5つについて、補足説明を加える。
まず、1 について。(焦りと自信のバランスの併存)
先にも書いたとおり、首都圏の高校生や浪人生とは、確実に学力差がある。それは明らかな事実だ。(よっぽど優秀な人は例外だが)
つまり、のほほんとして、漫然と勉強しているヒマはない。そんなことをしていたら、Y=Xのグラフと、Y=1/2Xのグラフの差がどんどん広がるように、関数的に置いていかれてしまうだけだ。
しかし、まだ勝負がおわったわけではない。なんなら始まったばかりで、追いつくチャンスはいくらでもある。だから、悲観しないで欲しい。サッカーでも野球でも、"追いかけられる" 側より"追いかける" 側のほうが強いと言われるように、だ。
自分たちは遅れている、ビハインドな状況だからこそ、まだまだいける。大丈夫だ。
このくらいのマインドセットで勉強に取り組んでほしい。
次に、2について。(タスクの可視化)
夏を迎えるにあたって、短期(1日〜1週間)、中期(1ヶ月〜3ヶ月)、そして長期(3ヶ月〜1年)で、きちんとしたプランニング(計画の立案)をしてほしい。使う参考書や塾の講座のレベルにまで落とし込んで年間計画を作成出来れば理想的だが、非現実的なのでそこまでする必要はない。
長期なら、例えば
10月からは過去問演習をガンガンする
合格ラインを12月初頭には突破する
中期なら、
9月のセンター模試でトータル75%とる
夏で国数英、歴史科目の基礎固めを終わらせる、そのために〇〇(参考書)を完成させる
短期なら
今日長文を2本解いて復習する
今週、チャートの例題を〇問解く
といった具合だ。良くないのは、「今日いまやっていることが、どのような目標に向かっているか分からない」状態。
Aする ← そのためにはB達成 ← そのためにいまCをする
というように、逆算してほしい。
但し注意が幾つかある。
・高すぎるノルマはNG
・未達成だからといって必要以上に落ち込まない
・計画に固執しない、必要に応じて修正を加える
ということだ。
毎日100問長文を解く!なんて無謀だし、「今日のノルマ消化できなかった、もうムリだ終わった…」とメンタル壊す必要もない。計画は合格という目標達成の手段であり、計画の消化自体が絶対目標になる、つまりは自己目的化してはいけない。
↓こんな感じ
3つ目について。(悩みや不安を吐き出す)
受験において、メンタルは勉強と同じくらい大きな重要性を持つ。やる気の継続が大切なのは周知のことだろうから、今回は逆ベクトルの観点、つまり辛いときの対応を書く。
昨年、自分はとにかく不安だらけで自信はない、端的に言って「病んだ」状態に陥ることが多かった。結局のところそれを克服できないまま受験を迎えてしまい、大きなマイナスを生じた。だから伝えておきたい。悩みは友達や家族に聞いてもらうか、大声出して発散して、こまめになくした方が良い。
あなたは一年前の悩みを思い出せますか?
という言葉があるように、今の悩みは一年後ダイヤモンドダストのように散って見えなくなる。それでもいまキツいのは分かるから、上手く悩みやストレスと付き合ってほしい。
4つ目について。(誘惑との距離を取る)
今は便利な世の中になったが、その弊害から、受験生は往々にしてスマホという悪魔との戦いを強いられる。たぶんみんなそうだ。
そんなときに有効打となるのが、「物理的に」距離をとること、スマホとの間に多くの「障害」を作ることだ。
例えばスマホが1キロ先の家の中に、布でぐるぐる巻きにされて保管されていたら、必然的にいじろうと思わないだろう。だから外で勉強する時はスマホを家に置いていく、SIMカードを抜いて持ち歩くなどの対策をお薦めする。
スマホに負けて気づいたら夕方、なんて事態は避けてほしい。
ラスト、5つ目について。(時間の可視化)
「大切なのは量より質!!!時間じゃない!!!」
とか言う腑抜けた人が定期的に発生するが、つまるところ勉強は時間だ。(睡眠はちゃんと摂る前提で)
時間は質に転化し、やがて実力となる。質が良い勉強を1回だけするより、質が劣る勉強を2回、3回繰り返すほうが記憶は定着する。脳科学的にも証明されている事実だ。
そのため、自分がどのくらいの時間勉強しているのか、ストップウォッチやスタプラの活用で時間を可視化してほしい。1日の終わりに少し振り返って、昨日より出来たなとか、今日サボっちゃったなとか、ひとつの基準となってくれる。
※毎日100%の充実度で勉強するのは現実問題として難しいので、80%継続で及第点と考えておくとメンタル的に良い
以上5つだ。2000字を超える長い文章になってしまった。僕からのアドバイスはこのくらいにして、最後に僕が去年お世話になった、現学研プライムゼミ所属、日本史の野島博之先生のブログを紹介して終わりにする。僕自身、何度も野島先生の言葉に勇気を貰った。受験生のみなさんも勉強の合間にどうぞ。
「日本史野島博之のグラサン日記」
https://ameblo.jp/nojimagurasan
8月下旬、夏も終盤に差し掛かった日の夕方、ヒグラシの凛とした鳴き声と熱気を含んだ空気、そして幾分か柔らかくなった日差しと共に、みなさんのなかを確かな充実感と達成感が駆け巡ることを、心から願っています。
頑張ってください。